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聖天堂(奈良県生駒市門前町)<宝山寺 其の参>

2021.06.30(20:28) 912

聖天さまをお祀りしてんどう!(2021.6.13)

<コース> 近鉄けいはんな線は日中7分、生駒山上線は40分間隔で運転
【往路】東梅田 → (大阪メトロ谷町線) → 谷町四丁目 → (大阪メトロ中央線・近鉄けいはんな線) → 生駒

生駒駅 → 徒歩25分 → 生駒聖天

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生駒山 宝山寺(真言律宗 大和十三仏霊場第一番札所)

 本堂の直ぐ横に隣接するのが、聖天さまをお祀りする聖天堂。

瓦葺きの本堂に対し、檜皮葺の建物で、棟や破風の数が多い八つ棟造りと呼ばれる風変わりな外観。寺院建築としては

非常に珍しいものだとか。

 お堂は手前が外拝殿、直ぐ後方の大きな屋根が中拝殿、一番奥の火炎宝珠のあるものが大聖歓喜天(聖天)を祀った

聖天堂、通称天堂となっています。

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前から見た外拝殿
背後には般若窟が聳える。

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中拝殿とその奥に建つ聖天堂
生憎、この日は手前から参拝。

天堂は、

『貞享3年(1686年)、大坂の医師・谷村昌安玄仙が施主となり、当初本堂の裏に建てられ、開山湛海律師が自作の聖天像を

安置。当時大聖無動寺と呼ばれていた当寺の鎮守、大願成就の守り神として祀ったのに始まる。像は修法の本尊で秘仏である。

 当初は、桁行二間半、梁行二間の単独建物であったが、文化2年(1805年)、京都の豪商・角倉与一が雨に悩む信者のために

唐破風付きの拝殿を寄進。その際に元の場所の西四間の地に移築された。

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檜皮葺、八つ棟造りの聖天堂拝殿
奥のに宝珠が見える下が聖天堂。

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檜皮葺の聖天堂と瓦葺の本堂が並ぶ

 明治8年(1875年)から10年にかけて、現在の位置に天堂と中拝殿が新築され従来の拝殿を移築し一体化。屋根も

杮葺きから檜皮葺に改められた。これらは江戸末期の歴代住職と信者からの協力で成就できたものである。

外拝殿は24時間開放され、内陣は5月1日から10日までの大般若会式の時と、縁日の16日に参拝できる。』 とあります。

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聖天堂の向こうに見える般若窟
中央の窪みに納められているのが弥勒菩薩坐像。

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生駒聖天案内書

 商売繁盛に御利益がある聖天堂の外回りは、煌びやかな飾り燈籠で荘厳。

「お参りして嬉しいわ、結構な事や、有難いこっちゃ!」というのが庶民の偽らざる信仰の本音。

古代の苦行を中心とした仏教から極楽往生へとその【焦点】を切り替えたことが、今に続く繁栄を呼んだとも言えましょうか?

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生駒山 寶山寺(寶山寺資料)
境内の和光殿にて販売 ¥800

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聖天さん御朱印(平成7年拝受)

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生駒聖天さん惣門から本堂(奈良県生駒市門前町)<宝山寺 其の弐>

2021.06.28(22:13) 911

不動明王を祀る本堂(2021.6.13)

<コース> 近鉄けいはんな線は日中7分、生駒山上線は40分間隔で運転
【往路】東梅田 → (大阪メトロ谷町線) → 谷町四丁目 → (大阪メトロ中央線・近鉄けいはんな線) → 生駒

生駒駅 → 徒歩25分 → 生駒聖天

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生駒山 宝山寺(真言律宗 大和十三仏霊場第一番札所)

 生駒山は奈良と大阪を分かつ生駒山地の主峰で標高642m。古くは応神天皇が百済から献上された馬を放牧したのが

名前の由来。山頂からは大阪平野、奈良盆地が一望できる他、ドライブウェイやハイキングコースも整備され遊園地もある

ことから近畿の日帰りレジャーゾーンとして人気があります。

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宝山寺表参道
二の鳥居まで両側には燈籠が並ぶ。

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二の鳥居

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二の鳥居に掲げられた「歓喜天」の扁額

 その一方で、神や仙人の住む場所として周辺から仰ぎ見られ、往馬大社や朝護孫子寺もある信仰の地でもあります。

その北端に位置するのが、生駒聖天さんの名で呼ばれる宝山寺。

 駅から宝山寺まで続く石段を25分。遠く市内の眺望や参道脇の俗から聖への変遷を見ながら門前へ到着。

杉の巨木の木立の間を抜け、風格のある四脚の惣門、中門を過ぎると境内。直ぐ右手に見えるのが本堂。

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二の鳥居から来た参道を見返る

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境内から見た二の鳥居

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駐車場脇にある金剛殿
ここで交通安全の祈祷を行う。

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石段の先にある惣門

 生駒山宝山寺(いこまさんほうざんじ)は、

『斉明天皇元年(655年)、役行者が開いた修験道場が嚆矢。その後、空海も修行したとされ弥勒の浄土と考えられるようになった。

その頃は都史陀山大聖無動寺(としださんだいしょうむどうじ)と言う名であったと伝わる。

 江戸時代の延宝6年(1678年)に湛海(たんかい)律師が寺を再興。延宝8年には仮本堂が建立され和合、福利の生殖神である

大聖歓喜天を祀った。これが事実上の開山とされる。

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寛政8年(1796年)再建の惣門
幕に描かれているのは寺紋の竜胆車。

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横から見た惣門(四脚門)

貞享5年(1688年)には郡山藩家老梶金平(かじきんぺい)一雄、梶民部一貞父子が施主となり、大坂の日下利左衛門一法が

これを助け、大和富雄三碓の庄屋大神和家(おおがかずいえ)が奉行となって本堂が完成。延宝8年築の仮本堂を根本中堂とし、

寺名も宝山寺と改称した。本堂は五間四面、重層の護摩堂様式。宝山寺創建当時の威風を残す唯一最古の建物で重要文化財。

本尊の不動明王は湛海律師作である。

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惣門に続く石段

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石段から見た惣門

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中門を過ぎ本堂へ

 一方の大聖歓喜天は商売の神として大坂商人の信仰を集める。加えて京都の皇室、江戸の将軍家、郡山藩主柳沢家からの

寄進もあり聖天信仰の霊場として栄えた。現在の参拝者は年間300万人、麓から続く参道の石段は奥之院まで含めると

1000余段あり西日本有数の規模を誇る。』 とあります。

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明治33年(1900年)落成の朝日宝塔
左が本堂、奥が般若窟。

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重要文化財・宝山寺本堂

 聖天さんの名で知られる宝山寺ですが、御本尊はあくまで本堂に祀られる不動明王。その位置は不動と言えます。

歴史的に確実と言えるのは江戸時代以降になりますが、生駒山の持つ山容から古代より都の人々の信仰を集めた事は

想像に難くありません。古の仏像や建物を壊さずに新たに付け加えたのも、そんな先達に敬意を表しての事だった気がします。

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本堂前面の庇と装飾

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本堂脇の沓掛不動さま

 本堂奥にあるのが、客殿として明治17年(1884年)竣工した獅子閣。寺院には珍しい洋風建築ですが、造ったのは

お雇い外国人ではなく越後の宮大工棟梁・吉村松太郎。このような所にもその意識が伺えます。

 日本の宗教は、一神教から見ると緩い印象を受けますが、後世まで伝わったものが多いのもその緩さゆえ。

古代西洋文明を破壊したのはゲルマン民族よりもキリスト教だったという事実を改めて考える必要があるようです。

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重要文化財・獅子閣
年に何度か公開されるが、コロナのため暫く閉館。

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本堂御朱印(大和十三仏)
これは今回拝受分。

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生駒聖天さんへの参道(奈良県生駒市門前町)<宝山寺 其の壱>

2021.06.27(16:58) 910

商店街から聖天さんへ(2021.6.13)

<コース> 近鉄けいはんな線は日中7分、生駒山上線は40分間隔で運転
【往路】東梅田 → (大阪メトロ谷町線) → 谷町四丁目 → (大阪メトロ中央線・近鉄けいはんな線) → 生駒

生駒駅 → 徒歩25分 → 生駒聖天

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生駒山 宝山寺(真言律宗 大和十三仏霊場第一番札所)

 一週間前に大和の長弓寺へ紫陽花巡りに行きましたが、生駒山系西側のぬかだ園地にも紫陽花園がある模様。

例年6月半ば以降の「あじさい祭」も残念ながら令和3年は中止ですが、園内は自由に散策できるとか。

大阪に半世紀以上居ながら知らないとは随分【抜かった】話ですが、【後の祭り】にならないようにお出かけ。

 園地の場所は東大阪市で、大阪側からだと近鉄額田或いは石切駅から急な坂を1時間程度上りますが、

生駒山上からだと15分で行ける様子。そこで生駒まで出てケーブルで山上からの巡礼となりました。

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近鉄生駒駅から紫陽花越しに生駒山方面を望む

 折角、生駒まで行くので、生駒聖天さんこと宝山寺へもお参り。平成7年の参詣では宝山寺までケーブルを利用。営業

ケーブルカーとしては我が国初で、鳥居前駅~宝山寺駅間の宝山寺線、宝山寺駅~生駒山上駅間の山上線の2区間から

成っています。宝山寺線は20分間隔の運転で犬(ブル)と猫(ミケ)をデザイン、山上線は40分間隔でケーキ(スイーツ)と

オルガン(ドレミ)を模したデザインで、地元では一日にブルかミケを二度見たら幸福になるとか。山上遊園地に向かうのには

相応しい雰囲気となっています。

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宝山寺線鳥居前駅ホームにて
ブルとミケの顔ハメの向こうにケーブル車両が見える。

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道路から参道本道の石段へ
山崎新町から仲之町へと変わる付近。

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宝山寺へは真っすぐな石段が約1㎞続く
石段は両側が古く中央が新しくなっている。

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石段途中から生駒駅方面を見返る
この付近はまだ両脇は人家が多い。

生駒への参道については

『江戸時代に大神和家(おおがかずいえ)の従兄弟が造り昭和の初めまで麓の菜畑から南門まで続いた正面参道が主要道。

加えて大阪の住道から幾つもの茶店を経て参詣した荒池八丁門峠越道、石切から入る道、暗峠から入る道があった。

 大正3年(1914年)に近鉄電車が開通すると、生駒駅から十三丁の新参道が開かれ、大鳥居付近の四十七段の石段もでき、

こちらが正面新参道となった。大正7年(1918年)にケーブルが開通、昭和40年代からはマイカー参詣が増えている。』とあります。

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道のり半ばで石の鳥居が出現

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鳥居を過ぎると両側には料理旅館が増えてくる
写真の「津ぼ美」も営業中であったが、コロナのせいか人影が少ないのが寂しい。

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エスニック風のお店は自然菜食カフェ「ナイヤビンギ
お寺の参道ながら日本食は兎も角、インド料理の店が多い気がするのは私だけ?

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宝山寺駅付近の参道にて
右手は旅館やまと、その奥にあるのがナイヤビンギ。

 でも今回は参道の雰囲気を味わうべく生駒駅から徒歩。両側から建物に挟まれた細い参道を行く訳ですが、駅前商店街は

派手な飲食店が、寺に近付くと旅館や食事処が並ぶという25分の間に俗から聖への変化が見て取れました。

大阪人にとって生駒市は高台の高級住宅地のイメージがあるので意外な感がありましたが、聖天さんは歓喜天で芸事の神様、

加えて生駒聖天と信貴山朝護孫子寺は庶民信仰の現世利益の仏様なので当然とは言えましょう。

かつて「ブラタモリ」の伊勢神宮編で、内宮と外宮の間の古市には一大遊郭があったと説明があったように、聖なる場所程、

俗っぽい場所も傍にあると言えそうです。

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近鉄宝山寺駅
ここで宝山寺線から山上線へ乗り換え。かつては有人だったが、今は無人化されたか?

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宝山寺駅スタンプ
かつて押印したもので、生駒山と聖天さんをデザイン。

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宝山寺駅から生駒市街地を望む

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駅を過ぎ宝山寺への最後の石段を上る

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市街地は遥か下界に…

[参考書]

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伊弉諾神社(奈良県生駒市上町)<長弓寺 其の八>

2021.06.25(19:10) 909

長弓寺の鎮守社(2021.6.5)

<コース> 近鉄けいはんな線は日中15分間隔で運転
東梅田 → (大阪メトロ谷町線) → 谷町四丁目 → (大阪メトロ中央線・近鉄けいはんな線) → 白庭台 → 徒歩15分 → 長弓寺

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真弓山 長弓寺(真言律宗 大和十三仏霊場第九番札所)

 本堂へ向かう石段の右側、境内の東側にあるのが伊弉諾(いざなぎ)神社。

『明治の神仏分離以前は、牛頭天王(ごずてんのう)社呼ばれ、聖武天皇が長弓寺の鎮守社として行基に命じて建てさせた

ものと伝わる。近世以前の長弓寺は神仏習合の信仰の場で、参道入口に今も鳥居が建つのはその名残である。』

とあります。

 初めは寺院の境内に新たに神社を勧進したものとばかり思っていましたが、由緒を見ると創建時まで遡る古社。

参道入口に鳥居があったのもこれで納得できました。

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拝殿前にて

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拝殿の奥に建つ本殿

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参道入口に建つ伊弉諾神社鳥居

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長弓寺 大師堂(奈良県生駒市上町)<長弓寺 其の七>

2021.06.23(20:21) 908

長弓寺 大師堂(2021.6.5)

<コース> 近鉄けいはんな線は日中15分間隔で運転
東梅田 → (大阪メトロ谷町線) → 谷町四丁目 → (大阪メトロ中央線・近鉄けいはんな線) → 白庭台 → 徒歩15分 → 長弓寺

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真弓山 長弓寺(真言律宗 大和十三仏霊場第九番札所)

 国宝・本堂に参拝した後は、その脇に建つ大師堂へ。

『平安時代に弘法大師が当寺を訪れた際に、善女龍王を感得したと伝わる。また平安後期には堀川天皇が伽藍を修復し、

大般若経六百巻を施入。世の平安と臣民の安寧を祈願したが、安徳天皇の時代に火災に見舞われる災難に遭った。

 本堂は弘安2年の建立であるが、蒙古襲来のあおりで寄進が集まらず、60年間素屋根のままであった。本堂脇の

大師堂には脇仏としての弘法大師像と本尊としての勢至菩薩を祀る。勢至菩薩は一周忌の守り仏で午年生まれの仏。

大和十三仏の第九番札所となっている。』 とあります。

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大師堂近影

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大師堂内陣

 古刹である長弓寺ですが、札所となっているのはこの大和十三仏のみ。三十三ヵ所はよく聞きますが十三仏は余り

耳にはしません。しかし平安時代から信仰されていたそうで、時代で言えば三十三ヵ所よりも歴史がありそうです。

 大和十三仏の寺院はいずれも有名な古刹ですが、仏様はそれぞれ違った特性を持ち、人が死んだ時に良き人間として

輪廻転生するために魂を守護してくれる存在だそう。これは是非お参りせねばと参拝と御朱印拝受した次第ですが、

こんな軽い気持ちでは仏さまも願いを聞いて下さるかどうか心許ない次第ではあります。

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大師堂脇の石碑

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石仏群
左奥にあるのが大師堂、右奥が本堂。

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大和十三仏御朱印
大師堂で祀っているが、無住のため御朱印は塔頭にて拝受。

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長弓寺(奈良県生駒市上町)<長弓寺 其の六>

2021.06.21(20:29) 907

国宝・長弓寺本堂(2021.6.5)

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東梅田 → (大阪メトロ谷町線) → 谷町四丁目 → (大阪メトロ中央線・近鉄けいはんな線) → 白庭台 → 徒歩15分 → 長弓寺

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真弓山 長弓寺(真言律宗 大和十三仏霊場第九番札所)

 境内の塔頭を全て参拝した後は、いよいよ国宝の本堂へ。

円生院と薬師院の間の道を抜けた境内の奥、最も高くなった場所にあり長弓寺の顔と言えます。

 国宝・長弓寺本堂は、

『和様を主体に細部に天竺様と唐様を交えた新和様とも言うべき建築様式。和様の基調の中に、扉(桟唐戸)・頭貫の木鼻には

大仏様を取入れている。鎌倉時代の建築で棟木に弘安2年(1279年)の銘が残る。一重入母屋造、檜皮葺、桁行(正面)五間、

梁間(側面)六間、向拝一間の密教仏堂である。

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蓮池の案内板の最も奥に本堂はある

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参道と石段の先に建つ本堂

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左の朱い欄干の横は亀池

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石段の先から見た国宝・本堂

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石段上から参道を見返る
左が薬師院、右が円生院。

 内部は虹梁、垂木を露出させて構造の美を発揮させ、虹梁上には彫刻入りの蟇股を置いて組物の簡素な点を補っている。

手前の三間分を外陣、その奥を内陣とし、外陣を広く採っているのが特徴である。

本堂には本尊の重文・十一面観音立像の他、阿弥陀如来・釈迦如来・四天王像等が祀られている。

弘安2年の創建以降は、貞治2年(1363年)、慶応2年(1866年)、昭和11年(1936年)の修理の歴史を経て現在に至っている。』

とあります。

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本堂の正面と側面

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向拝の張り出し部分

 国宝の本堂の拝観は予約制なので参拝は外からのみ。ですが元来の参拝はお堂の外からしたようで、法隆寺金堂と

五重塔の前に「礼拝石」があるのがその証拠。僧侶といえども堂内には入ることが出来ませんでした。

 それが少しでも仏様に近付きたいという人々の願いから、仏様のいる「正堂」と参拝する「礼堂」の二つのお堂ができます。

三月堂として知られる東大寺法華堂がその代表。

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正面(桁行)は五間の造り

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側面(梁間)は六間

 それぞれ別の建物であったものが鎌倉時代には一つになり、内陣と外陣が生まれます。その代表的なものが長弓寺と

霊山寺の本堂。前者が反りの美しい屋根や太く長い梁を持つ豪壮な建築、後者が天上の低い住宅風建築という違いは

ありますが、ともに富雄川沿いに残っているのには奇縁を感じます。

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長弓寺説明書

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長弓寺御朱印(御本尊)

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長弓寺 薬師院(奈良県生駒市上町)<長弓寺 其の伍>

2021.06.19(19:46) 906

紫陽花越しに見る塔頭(2021.6.5)

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東梅田 → (大阪メトロ谷町線) → 谷町四丁目 → (大阪メトロ中央線・近鉄けいはんな線) → 白庭台 → 徒歩15分 → 長弓寺

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真弓山 長弓寺(真言律宗 大和十三仏霊場第九番札所)

 塔頭を三ヵ所参拝した後は、最も奥にある薬師院へ。蓮池越しに見えるのは円生院と同じですが、手前に広い公園がある

ため紫陽花越しに塔頭が見えるのは長弓寺でここだけでしょう。

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蓮池の奥に見える薬師院

 長弓寺は聖武天皇の勅願の古刹で鎌倉時代の本堂が国宝。但し、本堂は無住で境内にある法華院・円生院・薬師院の

三つの塔頭が月毎に管理しており今月は薬師院が当番。薬師院独自の御朱印に加えて大和十三仏の御朱印もここで

拝受しました。御本尊は阿弥陀如来、石段を上った直ぐ左手の御堂に祀られていましたが、薬師如来様を祀っている訳

ではないのに薬師院とはこれ如何に。

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入口へ到着

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山門へと続く石段

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石段からの眺め

薬師院も独自のHPがあるのは他と同様。

ここでの精進料理は「お斎(とき)」と呼ばれ、僧侶の食事が起源で、食事の刻(とき)に語源があるようです。

値段も¥3,300、4,400、5,500 と他の塔頭とほぼ同等でした。

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紫陽花開花と薬師院会館

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紫陽花越しに見た山門と本堂

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公園から見た薬師院全景

 宿坊の案内は載っていませんが、ここでは「こころの相談室」を主宰。臨床心理士の資格を持つ若い御住職が支援される

ようで、1984年生まれの御住職は京都大学教育学部の出身。という事は故・河合隼雄氏の門下でしょうか?

医療は薬を患者に処方して治癒するのが主流。古代の国分寺には多く薬師様が祀られていますが、これは病気平癒の

願望に拠ります。しかし精神医療に相当するものも古代からあったので、薬師院はその伝統に沿っているとも言えましょうか。

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阿弥陀如来を祀る本堂

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本堂前から見た庭

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本堂脇を抜けて参道へ

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薬師院御朱印

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長弓寺 円生院(奈良県生駒市上町)<長弓寺 其の四>

2021.06.18(20:11) 905

蓮池の畔に建つ塔頭(2021.6.5)

<コース> 近鉄けいはんな線は日中15分間隔で運転
東梅田 → (大阪メトロ谷町線) → 谷町四丁目 → (大阪メトロ中央線・近鉄けいはんな線) → 白庭台 → 徒歩15分 → 長弓寺

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真弓山 長弓寺(真言律宗 大和十三仏霊場第九番札所)

 法華院参拝の後は来た道を戻り、蓮池の向こうの石垣に建つ円生院(えんしょういん)へ。塔頭ながらその姿からは

古刹の風格が漂います。

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蓮池前の案内板

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池越しに見た円生院

『長弓寺は奈良時代の小野真弓長弓(おのまゆみたけゆみ)が狩場で誤って養嗣の長麻呂に射殺された事を哀れんだ

聖武天皇の勅願に拠るが、父の後を追って自死しようとした長麻呂は聖武天皇の命で出家。法名を発心坊と号す。

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山門へはなだらかな坂を上る

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本堂への参道には燈籠が並ぶ

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土蔵の前に並ぶお地蔵様
ここに水を掛けてから参拝。

その妻で長弓の実娘・白菊姫と呼ばれていた大神円生姫も同じく仏門に入り円生法尼と号した。彼女の旧室であったのが

円生院で、創建以来絶え間なく続く塔頭御坊である。』 とあります。

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山門前にて

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昔ながらの造りの寺務所
御朱印はここで拝受。

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寺務所からの眺め
窪んだ場所には蓮が植えられていた。

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寺務所玄関
本堂へは右手の門をくぐる。

円生院もHPを持っています。

宿坊や精進料理があるのは他の塔頭と同様ですが、特徴的なのが寺子屋活動。地域の活動に加えて寺子屋新聞を発行し、

コミュニティセンターとしての役割を担っています。

また途上国への活動を援助しておられるようですが、御住職の説明ではこれらは全て【円】つながりだとか。

悲劇の小野真弓公の愛娘の法名に由来する塔頭ですが、【円を生じる】霊験はあったようです。

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本堂に続く縁側

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縁側から見た庭
ここでも躑躅が見られる。

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書院と本堂
¥300で本堂拝観は可能だが、予約が必要。

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不動明王を祀る本堂
左奥には阿弥陀如来を祀っている。

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円生院御朱印

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長弓寺 法華院(奈良県生駒市上町)<長弓寺 其の参>

2021.06.16(19:20) 904

長弓寺の高台に建つ塔頭(2021.6.5)

<コース> 近鉄けいはんな線は日中15分間隔で運転
東梅田 → (大阪メトロ谷町線) → 谷町四丁目 → (大阪メトロ中央線・近鉄けいはんな線) → 白庭台 → 徒歩15分 → 長弓寺

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真弓山 長弓寺(真言律宗 大和十三仏霊場第九番札所)

 参道を進み蓮池の前を左手に上ると、土塀に囲まれ看板が掲げられた寺院に至りますが、ここが塔頭の一つ

法華院(ほっけいん)。

塀に囲まれた境内は狭いながらも草木の手入れが行き届き、庭石を歩きながら四季を体感するように作庭されていました。

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蓮池の案内板に従い左手に進む

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土塀に囲まれた塔頭
この看板は地蔵堂からも見える。

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山門前に到着
紫陽花は寺標脇に植えられている。

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山門近影
正面の寺務所で御朱印拝受。

 山門を過ぎて左奥に進むと御本尊の愛染明王を祀る本堂。無限向上無限慈愛の御利益があります。

堂内には上がれませんでしたが、外陣からもその御姿を拝むことができました。

参拝後は、正面の寺務所で御朱印拝受。長弓寺は塔頭毎に御朱印があるのも特徴です。

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御本尊愛染明王さまにお参り

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十三重石塔と木々に囲まれた内庭

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愛染明王様を祀る本堂

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本堂前から山門方面を見る
紫陽花で有名な長弓寺だが、この塔頭は躑躅が鮮やか。

 建物は新しい造りですが、それもその筈。ここは宿坊と精進料理を出す場所。食事は個室となっており、さながら高級

和風料亭といった感があります。

法華院のHP」もあり、案内に拠るとここの料理の特徴は「華麩(かふ)料理」。精進料理を基調としながら華やかな彩を

あしらったのが特徴。値段も何パターンかあって、庭を眺めながらの個室での食事には食指が動きましたが、一人では

無理なのが最大のネック。【かふ】は寝て待てとはいかず、【ながい】時間が掛かりそうです。

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正面の寺務所

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法華院御朱印

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法華院から本堂へは長塀に沿って進む

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長弓寺 宝生院地蔵堂(奈良県生駒市上町)<長弓寺 其の弐>

2021.06.14(18:15) 903

無住ながら紫陽花に囲まれた塔頭(2021.6.5)

<コース> 近鉄けいはんな線は日中15分間隔で運転
東梅田 → (大阪メトロ谷町線) → 谷町四丁目 → (大阪メトロ中央線・近鉄けいはんな線) → 白庭台 → 徒歩15分 → 長弓寺

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真弓山 長弓寺(真言律宗 大和十三仏霊場第九番札所)

 長弓寺が建つのは生駒東麓、鵄邑(とびのむら)と呼ばれる神武天皇と長髄彦(ながすねひこ)の古跡に当り現在の「登美」

に繋がっています。長弓寺はその地に建つ名刹。真弓山長弓寺(まゆみさんちょうきゅうじ)は、

『神亀5年(728年)、この地の名族、小野真弓長弓(おのまゆみたけゆみ)が世嗣・長麻呂と共に聖武天皇に従ってこの地で

狩猟した事に始まる。

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参道より見た地蔵堂全景

 ある日、森より飛び立った異鳥を追い、射落そうとした長麻呂は謝って父・長弓を射殺してしまった。長麻呂は自責の念から

その場で後を追おうとしたが、天皇に止められて後に仏門へ入る。この悲劇を哀れんだ聖武天皇は行基に命じて寺を建て

その冥福を祈った。これが長弓寺の嚆矢である。

 行基は命を受けて白檀の十一面観音を作り、牛頭天王、八王子の宮を建て天皇の御弓で本尊頂上の仏面を彫刻し、

天平2年10月18日に落慶法要を営んだと正徳絵縁起にある。更に桓武天皇の御代に藤原良継(よしつぐ)が伽藍を中興、

阿弥陀・釈迦・地蔵・四天王像を安置したとされる。

 但し、中世までの歴史は不明な所が多く、沿革が明らかになるのは真言律宗の祖・叡尊に拠って再興された鎌倉以降。

現在の本堂も弘安2年(1279年)の建立である。

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地蔵堂正面

 貞治2年(1363年)に修理されるが、文明5年(1473年)には山名宗全の落人のために重宝等は破壊。天正5年(1577年)には

信長に拠って寺領を没収された。

 盛時には塔頭が20院あったが、明治の廃仏毀釈の影響で現在は4坊のみ。その内、住職の居る3坊が輪番制で長弓寺

本堂は維持されている。』 とあります。

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横から見た地蔵堂と張出した庇

 奈良時代から続く古刹は間違いないようですが、創設期の話は諸説錯綜。山号と寺号の元になった真弓長弓ですが、

誤って射殺されたのは悲劇というよりもお粗末な話。昔から狩場として知られたのが、弓の名に繋がったと考える方が

自然な気がします。

 加えて藤原良継は桓武天皇の即位前に亡くなっているので、良継は緒継(おつぐ)の誤りと見るのが一般的。少し

調べれば分かる筈ですが、このような杜撰な伝承が残っているのが却ってその古さを証明するものでしょう。

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地蔵堂の屋根

 大門を入って直ぐ左手に建つのが、塔頭で唯一無住の宝生院地蔵堂(ほうしょういんじぞうどう)。無住ながら御本尊の

お地蔵様は外から拝観できます。但し、縁起にあるように藤原良継の安置に拠るとは考えない方が無難なようです。

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高台の法華院から見た地蔵堂

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長弓寺と紫陽花(奈良県生駒市上町)<長弓寺 其の壱>

2021.06.11(19:41) 902

生駒東麓の紫陽花巡り(2021.6.5)

<コース> 近鉄けいはんな線は日中15分間隔で運転
東梅田 → (大阪メトロ谷町線) → 谷町四丁目 → (大阪メトロ中央線・近鉄けいはんな線) → 白庭台 → 徒歩15分 → 長弓寺

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真弓山 長弓寺(真言律宗 大和十三仏霊場第九番札所)

 水無月の最初の週末、桜も異常に早かった今年は紫陽花も早かろうと予想できます。大阪の久安寺は一昨年、京都の

三室戸寺は昨年参拝したので、今年は大和路の紫陽花を計画。

大和の紫陽花は金剛正寺こと矢田寺が有名ですが、コロナのため紫陽花はおろか拝観も休止中。これは困ったと思いましたが

県内の長弓寺にも紫陽花があるらしく急遽生駒へ。

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白庭台駅から坂を東へ下り富雄川沿いを南下
これは川沿いのバス停だが、寄りに拠って「蛇喰(じゃはみ)」とは!

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寺へは富雄川に架かる真弓橋を渡る
右奥に見えるのが「近鉄けいはんな線」

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真弓橋から寺標と鳥居を望む
長弓寺へは鳥居を奥へ進む。

 真弓山長弓寺(まゆみさんちょうきゅうじ)は、生駒市北側で生駒山東麓。かつては駅から山を越えるなど不便な場所

でしたが近鉄けいはんな線の開通でぐっと便利になりました。大阪のベッドタウン化の影響でしょうが、寺の付近は未だに

長閑な雰囲気。

平成23年に国宝の本堂を拝観していましたが、その時は1月6日と花には縁遠い季節だったこともあって紫陽花は全く

見過ごしていました。灯台下暗しとはまさにこの事。きちんと【とうろく】しておかねばなりません。

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鳥居に続く参道
右手に青と白の紫陽花が並ぶ。

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青い紫陽花越しに鳥居を振り返る

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参道の先に建つ大門

 広い境内には堂宇や塔頭が並びますが、それらの場所には紫陽花は少なく、参道脇や境内の公園に植えられている

のが殆ど。矢田寺や鎌倉の明月院と異なり紫陽花に触れながらの巡礼ではありませんが、また一味違った味わいでした。

矢の代役を弓が果たしたと言えましょうか?

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宝生院前にて
大門を過ぎて直ぐ左手にある無住の塔頭。

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参道から宝生院地蔵堂を望む

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地蔵堂前の紅紫陽花

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紅紫陽花近影
紫陽花は土壌のpHに拠って変色するそうだが、これは品種に拠るものであろう。

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高台に建つ法華院前にて

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境内奥の公園に咲く紫陽花群
奥の塀の上に建つのは塔頭・薬師堂。

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薬師堂の石段から公園を見る
紫陽花を鑑賞する人々。奥に建つのは薬師会館。

 本堂は無住で境内にある法華院・円生院・薬師院の三つの塔頭が月毎に管理しています。今月は薬師院が当番だったので

御朱印はそこで拝受しましたが、塔頭独自の御朱印もあり計4か所。通常、塔頭は拝観謝絶の場所が多いですが長弓寺は

全て見学OK。精進料理や宿泊もできるオープンな寺です。塔頭は全て庭園が整備されていましたが、これは庭を眺めながら

食事ができるようにとの心遣いですが、料理は5名からの予約。紫陽花に続く【味彩】にはまだ時間がかかりそうです。

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薬師院に置かれた紫陽花の鉢

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奥の参道脇にて

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境内の紫陽花

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冨山城址公園(富山県富山市本丸)

2021.06.09(20:16) 901

富山の桜 散らずもあらなむ(2021.4.10)

<コース>
【往路】JR京都(6:25) → (新幹線) → JR米原(6:44→6:51) → JR敦賀(7:37→7:41) → JR福井(8:38→8:41) → JR金沢(10:02→10:09) → 髙岡(10:50)

髙岡(11:12) → (氷見線) → JR雨晴(11:32) → 徒歩5分 → 義経岩・道の駅 → JR雨晴(11:57) → 髙岡(12:20→12:24) → 呉羽(12:37→13:01) → 富山(13:06) → (富山電鉄) → 西町 → 徒歩10分 → 富山城址公園 → 徒歩10分 → 冨山

【復路】冨山(15:12) → JR金沢(16:10→16:41) → JR福井(18:10→18:17) → JR敦賀(19:06→19:19) → JR京都(21:05)

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冨山城址公園

 雨晴の後は、JR氷見線、あいの風とやま鉄道で冨山市内へ。かつての北陸本線は3セク、富山港線は富山地方鉄道と

経営は変わりましたが、市内の移動に不便はありません。

 富山地方鉄道は立山、宇奈月温泉に行く長距離路線と市内巡回の短距離路線に分かれますが、前者が他社の旧車両を

使用しているのに対し後者は最新式車両。この日は稲荷町駅で京阪電鉄の特急車両を目にしました。

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富山地方鉄道 稲荷町駅にて

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少し遅めの昼食は、富山駅にある「立山そば」にて

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富山市内マンホール蓋

 駅前から最新式の路面電車で西町下車。その後、線路に沿って城址公園へ。

『市街中心部にある富山城は冨山藩前田家の居城。現在は冨山城址公園として整備され、城の遺構は石垣、内堀の一部

ほか移築された千歳御門が残る。

 城下は昭和20年の空襲で大部分が焼失したが、藩祖が篤く崇敬した日枝神社、菅原道真や売薬の祖・前田正甫(まさとし)

を祀る於保多神社、梅沢町の寺院群、売薬資料などに当時を偲ぶことが出来る。天守閣は戦後復興のシンボルとして建設

されたもので郷土博物館となっている。』 とあります。

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南側から濠と桜を望む

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戦後復元された天守閣

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東側にある大手門

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城址公園内の庭園
奥に見えるのは美術館

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お城の周辺はオフィス街

 冨山藩は加賀前田家の支藩。金沢城もそうですが富山城も平地に築かれた平城。戦に向かない場所への築城は大藩として

幕府の疑いの目を避ける意味もあったのでしょうが、武から文への鮮やかな切り替えが、北陸地方の民の生活を安定させた

事は事実。現在も住みたい県の上位に北陸三県が入っているのは偶然ではありません。

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公園内に建つ二代藩主・前田正甫公像

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正甫公事績

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公園内の枝垂桜

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本丸亭

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本丸亭由緒

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公園の北東にある隅櫓

富山城址公園も富山では有名な桜の名所ですが、ここも桜は散った後でした。10日の段階で北陸まで散り始めとは今年の

早期開花は異常です。

 桜は逃しましたが、城址公園周辺のマンホールカードは無事ゲット。世間は「まんぼう」一色ですが、【まんぼう】集の郷と

【まんぼう】るカードの一日でした。

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水路沿いの花見船も人待ち状態

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富山市マンホールカード 4種

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市内ではカードと同じ図柄のコースターも貰える

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帰りの車中で
金沢駅販売の「前田家弁当」

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2021年06月
  1. 聖天堂(奈良県生駒市門前町)<宝山寺 其の参>(06/30)
  2. 生駒聖天さん惣門から本堂(奈良県生駒市門前町)<宝山寺 其の弐>(06/28)
  3. 生駒聖天さんへの参道(奈良県生駒市門前町)<宝山寺 其の壱>(06/27)
  4. 伊弉諾神社(奈良県生駒市上町)<長弓寺 其の八>(06/25)
  5. 長弓寺 大師堂(奈良県生駒市上町)<長弓寺 其の七>(06/23)
  6. 長弓寺(奈良県生駒市上町)<長弓寺 其の六>(06/21)
  7. 長弓寺 薬師院(奈良県生駒市上町)<長弓寺 其の伍>(06/19)
  8. 長弓寺 円生院(奈良県生駒市上町)<長弓寺 其の四>(06/18)
  9. 長弓寺 法華院(奈良県生駒市上町)<長弓寺 其の参>(06/16)
  10. 長弓寺 宝生院地蔵堂(奈良県生駒市上町)<長弓寺 其の弐>(06/14)
  11. 長弓寺と紫陽花(奈良県生駒市上町)<長弓寺 其の壱>(06/11)
  12. 冨山城址公園(富山県富山市本丸)(06/09)
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