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浄運寺 (兵庫県たつの市御津町室津)

2022.06.28(21:04) 1155

法然の説法で往生した遊女(2022.3.12)

<コース> 春の青春18きっぷ使用
【往路】JR大阪(6:00) → JR姫路(7:30→7:31) → JR岡山(9:08→9:11) → JR倉敷(9:28→9:52) → JR相生(11:18→11:21) → JR網干(11:30)

駅前レンタサイクル → 50分 → 室津入口 → 室津漁港 → 浄運寺

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清涼山 浄運寺(浄土宗知恩院派 法然上人霊跡)
手前の石碑が友君の墓。

 突端の藻振鼻から坂を下って戻る途中の小高い丘に建つのが浄運寺。

港から行くと石垣を持った城門風の山門が見えますが、これは北門。

正式には海に面した西門から入るのが筋のようです。

 清涼山浄運寺(せいりょうざんじょううんじ)は、

『文治元年(1185年)、法然上人の高弟信寂上人が播磨国教化の道すがら、

室津の長者十川氏の帰依を受けて建立されたのが嚆矢。

当初は西方寺と呼ばれたが、慶長年間に浄運寺と改称された。

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海側に開いた浄運寺西門

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西門脇に掲げられた縁起

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正門に当たる西門から入山

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西門近影
奥に見えるのが本堂。

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城門風の北門
室津港から向かうとこちらから入山になる。

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境内から見た北門
上は鐘楼になっている。

 当寺は法然上人25霊場の一つ。建永2年(1207年)上人が後鳥羽上皇の怒りに触れて

讃岐に流される際に、この地に立寄った。その時、以下の伝承が伝わっている。

 室津は我が国で遊廓発祥の地とされ、土地の長者の娘であった「室の君」は容姿・品格・芸妓に

抜きんでていたが、他に「友君」と呼ばれた遊女が居た。

彼女は木曽義仲の側室「ふき」で義仲討死後は播磨に留まり、遊女となって義仲を供養していた。

 自らの罪深さに苦しんだ友君は、法然上人が室津に居ると聞くと船を出して、将来の不安について法然に問うた。

「今の生業を変えることが出来ぬのなら、卑下することなく、ただ唯阿弥陀仏の本願を深く信じ、念仏を唱えなさい。」

と説いた。

 それを聞いた友君は法然に拠って得度し出家。後に許され配流先から戻る途中に当地へ立ち寄った法然は、

友君が念仏往生を遂げたと伝え聞いた、と言われる。

 海側の門前には友君の墓があり、寺には彼女に纏わる遺物があるという。

これらの話は浄土宗の広まりと共に、女人往生の説法に用いられたものであろう。』

とあります。

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浄運寺から海側に下りた道にある「法然上人 貝堀の井戸」

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法然上人が貝殻で掘ったという井戸の由緒
海辺なのに淡水が湧く不思議。

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南側から見た境内
左が西門、正面が北門。

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北門から見た庫裏(手前)と本堂

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本堂正面

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北門脇にある観音堂

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書院玄関

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玄関に置かれた鬼瓦

 山門を抜けると正面に本堂。その手前には枝垂梅、山門脇には見事な貝塚伊吹(柏槙)がありました。

初め本堂は外陣から拝観しましたが、御朱印を御願いすると住職夫人が対応。

内陣まで案内して頂いた上、説明までして頂くという幸運に。

 御本尊の阿弥陀如来は運慶の作。

その右奥には賀茂神社の旧仏であった多宝如来像、法然上人像、友君像と並びます。

上人の頭部は木造で法然作、胴体は粘土で友君の作。

友君の像は彼女の没後、配流先から戻った法然が彫ったものだそう。

随分と複雑な由来ですが、どこまで真実を伝えているのでしょう。

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本堂前の枝垂れ梅

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西門脇の貝塚伊吹

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本堂入口

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本堂に掲げられた「浄運寺」の扁額

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本堂前からの眺望

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本堂内陣

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伝運慶作の御本尊・阿弥陀如来像

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御本尊右側の多宝如来像

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法然上人像

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友君像

 友君の墓と思って境内でお参りしたのは、実は「室の君」の供養塔。訊かなければ、スルーする所でした。

友君の塚は海を見下ろす場所、せめて墓所なりとも眺めの良い場所にという心遣いでしょうか。

 遊女念仏往生はあくまでも伝説の域。親鸞聖人の悪人正機説もあるように、

浄土の教えはどのような人も極楽往生できる事を簡潔に伝えるところに主眼があったようで、

それが後世に信者の数が増える原因だった気がします。

キリスト教でもマグダラのマリアの説話があるように、洋の東西を問わないようですが…。

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境内にある「室の君」供養塔
普賢菩薩の化身となっている。

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西門の外に在る遊女・友君の塚
室津の海を見下ろす立地である。

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友君の墓石

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浄運寺御朱印

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