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常楽寺 国宝・本堂 (滋賀県湖南市西寺) <常楽寺 其の弐>

2023.03.08(20:36) 1403

近江に行っても【じょうらく】寺(2022.11.26)

<コース>
【往路】JR大阪(7:30) → (新快速) → JR草津(8:20→8:37) → (草津線) → JR石部(8:48)

JR石部駅 → 徒歩5分 → 石部宿 → 吉御子神社 → 真明寺 → 本陣跡 → 徒歩5分 → 登り町(9:38) → (滋賀バス) → 西寺(9:45) → 徒歩5分 → 常楽寺 → 徒歩15分 → 長寿寺 → 徒歩75分 → 善水寺 → 徒歩5分 → 岩根(14:30) → (滋賀バス) → 甲西北口(14:50)

【復路】JR甲西(15:03) → JR草津(15:17→15:22) → (新快速) → JR大阪(16:13)

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阿星山 常楽寺(天台宗単立寺院 近江西国霊場第一番 びわ湖百八霊場九十五番)

 駐車所を過ぎて、いかにも急場拵えと見える受付で拝観料を払って入山。

すぐ正面には国宝の本堂が聳えます。

 阿星山常楽寺(あせいざんじょうらくじ)は、

『和銅年間(708~715年)、元明天皇の勅命を受けた良弁僧正により開基した

阿星寺(あせいじ)五千坊の一つ。阿星(あぼし)山焼失の際、

阿星寺本尊千手観音像が常楽寺に飛翔し本尊となったと伝わる。

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入口に建つ常楽寺縁起

 市内に所在する長壽寺の「東寺」に対し「西寺」と呼ばれ、共に聖武天皇が離宮を造営した

紫香楽宮(742~745年)の鬼門鎮護の役目を担った。

 延暦年間(782~806年)に天台宗に改宗、平安から鎌倉時代にかけては長壽寺と共に歴代天皇の尊崇が厚く、

鎌倉時代には亀山天皇の勅命に拠る雨乞秘法を行う等、鎮護国家の道場とされた。

 延文5年(1360年)には落雷に拠り伽藍は全焼。同年に僧侶観慶らに拠って再興され、

その後、三重塔、山門が再建された。

 元亀2年(1571年)、織田信長に反抗して野洲郡金森の一向一揆勢が集結した際には、

信長配下の佐久間信盛が当寺に本陣を置いている。

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紅葉の向こうに建つ本堂

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国宝・本堂近影
このアングルがよく写真に使われる。

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本堂説明板

 宝徳4年(1452年)に建てられた仁王門は、豊臣秀吉が伏見城築城の際に移築され城門となり、

次いで慶長6年(1601年)には徳川家康に拠って三井寺園城寺に移築され、現在は園城寺の大門として

重要文化財。当寺には本堂と三重塔が残り、いずれも国宝となっている。

 国宝・本殿は桁行七間、梁間六間、入母屋造、向拝三間、檜皮葺。延文5年(1360年)に全焼するが

同年に僧侶観慶が再興した事が、その時の勧進帳に拠り分かる。室町時代和様本堂の遺構である。

東面し堂内は外陣・内陣・後陣から成り、内陣の両側に堂蔵がある。

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側面より見た本堂

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張り出しが著しい向拝

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向拝は三間だが柵が置かれ散見できず

 内陣の須弥壇中央には秘仏である御本尊千手観世音菩薩を祀る厨子がある。

寄棟造・板葺で唐様を主とした構造で国宝。御本尊千手観世音菩薩は千手千眼観音とも呼ばれ、

度重なる災難を逃れ、寿命を延ばし病気を治す後利益があるとして、江戸時代には

庶民観音巡礼の札所として、近江西国観音霊場一番となり庶民信仰を集めた。

普段は秘仏で33年に一度御開帳を勤める。像高さ63㎝、素地は榧材の寄木造、

四十二臂の座像で南北朝時代の重文である。

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本堂正面の蔀戸

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正面から見た向拝

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本堂前面に掲げられた「常楽寺」の扁額

 厨子の両脇雛壇には風神・雷神の二神と御本尊の眷族である二十八部衆が

千手観音を信仰する人々を護持する守護神として祀られておりいずれも重文。

仏像はみな三尺像で檜の寄木造、玉眼の入った彩色像で、鎌倉時代後期の

徳治3年(1308年)から正和3年(1314年)にかけて造立された事が勧進帳に記されている。

風神と二王が昭和56年に盗難に遭い、阿修羅王は後に見つかったが、

風神と摩睺羅伽(まごらか)王の二体は不明なままである。

本堂裏側の外陣に安置する重文・釈迦如来座像は寄木造・皆金色、藤原時代の

特色を示している。』 とあります。

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向拝の向こうに見える紅葉群

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右手奥から本堂の内陣へ
但し、内陣は撮影不可。

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横から見た本堂入口

 近年、紅葉の名所として人気の出て来た常楽寺ですが、一番の映えスポットは

本堂前から紅葉を入れて本堂と三重塔が並ぶ眺望。

紅葉と三重塔と紅葉は良くある構図ですが、ここでは本堂が中心に。

いずれも国宝建造物ながら、低くて横に広い本堂と、幅はないが高く聳える三重塔が

良いコントラストを出しているのでしょう。俗に言う凸凹コンビになります。

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本堂脇の紅葉

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紅葉と本堂屋根側面

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檜皮葺屋根の向こうに見える三重塔

 本堂が焼失したのは戦乱ではなく落雷に拠るもの。

戦の多かった近江では珍しい例と言えますが、それは織田信長に反抗しなかったから。

神仏を怖れなかった信長ですが、己に逆らわないものまでやたらと焼き討ちするような

人物ではありませんでした。その代り、秀吉に拠って山門は移築。

新築が大変だったのか、好みに合ったからかは分かりません。

その後も移築を経ますが、三井寺で今も残ったのは不幸中の幸いでした。

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本堂脇から三重塔を眺める

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本堂屋根越しに見える三重塔

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満天星の向こうに見える本堂屋根

 国宝のある常楽寺に、立派な山門がない理由は分かりましたが、今後再建されるのかどうか?

参拝者が殆ど居ない頃は、問題にも挙がらなかったでしょうが、今後はどうなるか?です。

 尚、主要な仏像は全て本堂内陣に安置されていますが、説明にもあるように盗難防止のため。

戦国時代は白昼堂々と持っていきましたが、今は夜陰に紛れての持ち出し。

いつの世でも寺にとっての災難は尽きないようです。

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高台から見た本堂檜皮葺屋根

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今回拝受した常楽寺御朱印
平成4年に拝受したものからは長足の進歩と言える。

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