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石塔寺 (京都府向日市鶏冠井町山畑)

2023.03.30(20:37) 1425

民衆の日常に入り込んだ日像上人(2023.3.5)

<コース> 電車は日中10分間隔で運行
【往路】阪急梅田 → (阪急電車) → 東向日 → 徒歩2分 → 西国街道

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法性山 石塔寺(本化日蓮宗)

 向日神社参拝を終えて鳥居前まで来ると、日像上人の説法石と言うものが鎮座。

神社の前に仏教遺蹟とは!と思いつつ、西国街道を南下すると五辻で再び分岐。

この東側の島坂は延暦4年(785年)長岡京造営長官であった藤原種継が暗殺された場所。

遷都して僅か1年後の事でした。

側近の暗殺に始まる一連の政争は僅か10年で長岡京を放棄、平安京遷都への原因にもなりました。

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向日神社の鳥居脇にある説法石

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石の台座に嵌め込まれた遺蹟由来

 そこを過ぎて暫く行くと東側に由縁のありそうな山門があり、開放した門の向こうには

整備された庭が見えたので入ってみることに。

 法性山石塔寺(ほっしょうざんせきとうじ)は、

『鎌倉時代末の延慶3年(1310年)、開山日像(にちぞう)上人が向日神社前に

法華題目の石塔婆を建立し、その傍らにお堂を建てたのが始まり。

その後、文明年間(1469~1487年)に日成がこの傍らに堂宇を建立し寺号を定めたとされる。

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正面より見た山門
庭園の奥に本堂が見える。

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山門脇の由緒記

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山門から見た境内

 鎌倉時代以降は、寺の前を通る西国街道を行き交う人々で当寺周辺は賑わいを見せ、

豊臣秀吉、明智光秀など歴史上の人物も通っている。

 元和年間(1615~1624年)に不受不施派の寺院として幕府に届けたが、

寛文6年(1666年)の不受不施禁制後は妙顕寺派に属した。

その後、寛文年間には独立本山に成長し、その末寺は近畿一円に三十三ヵ寺に及んだ。

周辺には「御塔屋敷」「御塔下」「御塔道」等の地名が今も残り、かつての伽藍の壮大さを今に伝えている。

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山門を入って右手に建つ塔堂・妙見堂・七面堂

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塔堂

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塔堂前に立つ石碑

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塔堂内部に祀られている石塔婆

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塔堂に続く妙見堂・七面堂

 明治9年(1877年)には鶏冠井村の興隆寺を吸収、翌年には本堂・庫裏・座敷・塔堂・妙見堂・七面堂・

鐘楼・門等を整備した。現在は本化日蓮宗の単立寺院で十界大曼荼羅を本尊とする。

 毎年5月に行われる鶏冠井題目踊は、日像が炊いたご飯の湯気が「南無妙法蓮華経」の

文字となったのを見た村人が喜ぶ様子を表現したとされる。』 とあります。

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塔堂前から見た本堂と庫裏

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本堂前の庭園

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本堂前の石はかつての礎石?

 これで向日神社の鳥居前に説法石が鎮座するのにも納得。

開祖日蓮上人が鎌倉で辻説法を説いたのは有名ですが、

鎌倉を起点に広まった日蓮宗の関西での起点はここだそう。

 山門を潜ると庭の先には本堂建ちますが、直ぐ右手には古い小さな御堂が建ち、

その前には「日像菩薩石塔」の石碑が。

堂内を覗くと正面に南無妙法蓮華経と刻まれた石塔が祀られていました。

殆どの宗派では仏像を祀りますが、このような題目石塔を祀るのは

法華経を全てと考える日蓮宗ならではと言えます。

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庭園の間を抜け本堂へと続く参道

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松の向こうに建つ本堂

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鉄筋の本堂全景
木々の入らないアングル。

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本堂に掲げられた「法性山」の扁額

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本堂前からの眺め

 平安以後の宗派では、最澄と同時代の空海、明より来朝した隠元以外の宗祖は

全て比叡山に学びました。日蓮も例外ではありません。

しかし、他の宗祖が平安京で布教を始めた中で、日蓮のみは鎌倉を布教の手始めにしています。

関東の安房出身という事もあったでしょうが、身近な人達の日常に接してのスタートは、

それ以降の日蓮宗の方向性を決めたとも言えます。

他宗派への攻撃性が強調されることの多い日蓮ですが、

民衆から乖離してしまった仏教への抗議とも言えそうです。

歴代には「日」文字を名乗る僧侶が多いですが、これは日本や日輪ではなく

意外と日常を表していると考えるのは飛躍しすぎでしょうか?

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本堂と庫裏の間にはこんな池泉回遊式庭園も

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庭園に架かる石橋

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境内の奥に続く庭園

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庫裏正面
生憎、住職が不在のため御朱印拝受は叶わず。

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境内の梅

[参考書]

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